嶺上航路

興味関心のおもむくままです

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咲「さあ、夢を見よう。」 (上)

久「おっひさー。……って言うほど久しぶりでもないけど。先月の同窓会以来かしら?」

久「私ね、いつかこういう風に後輩のことを自慢げに語れる日が来るといいなー、って思ってたのよ。まさか、あなた相手にあの子の話をすることになるとは思いもしなかったけど」

久「でも、今さら私の話なんて要るのかしらね? ……ああ。そういうことじゃなくて、『高校時代の先輩』の話が欲しいってことか」

久「とは言っても、話すことはそんなにないのよねぇ。なんだかんだ言っても、清澄であの子と過ごした年月は部員の中じゃ私が一番短いわけだし」

久「高校の頃の咲ならあなたの方がよっぽど詳しいでしょ? 大学に行ってからは言わずもがなだし、プロに入る前後……ってなるとねぇ」

久「一般人目線とそう変わらない印象論でもよければ……あっ、それでもいいの? ……うーん。なにから話そうかしら……」




――――――




久「なんていうか、あの子……意外と人気がないわよねぇ? 大差での勝ちが当たり前とか、満貫役満連発のど派手なスタイルってわけでじゃないし」

久「和了形があそこまで特異な子は珍しいし、IHの時期はずいぶん話題にもなったものだけど。世間が慣れちゃったのかしら?」

久「あの子が大学に進んで、名前を聞かなくなってからは結構心配したものよ? それが一時の不調だということと、あの子がプロには進めたというのを知ったときはホッとしたわ」

久「優しい子だったし、プロでやれるかも心配だったけど。事実、春先は病気もしちゃってダメダメだったし」

久「それでもなんだかんだ復調して、選抜された若手雀士が戦うフレッシュオールスターに参加できたのは流石よね」

久「私? 私はまあ……そこそこよ。社会人のチームも、それなりに楽しく、張り合い持ってやれてるわ」

久「そうそう。プロには進めなかったけど、長野はプロとアマの交流戦が盛んだしね。この前なんて、靖子と一騎打ちみたいな展開
になっちゃって…………」




――――――




由暉子「……あの、私の胸に何かついてます? さっきから視線を感じるような気がするのですけれど」

由暉子「『今取れた』、ですか? そうですか。そんなに大きなホコリがついてたなんて気が付きませんでした。ありがとうございます」

由暉子「あっ、はい。確か、フレッシュオールスターに出た頃の宮永さんのお話が聞きたいんでしたよね」

由暉子「……そう、ですね。あの時期の宮永さんは、プロに慣れることに苦労されてるみたいでした」

由暉子「それでも、元気になってからは安定感のある打牌を続けていたと記憶しています。……はい。きっと、オールスターにも選ばれるだろうなと思ってました」

由暉子「そうですね。あのとき私は、幸運にも高鴨さんと一緒にMVPをいただくことができて。宮永さんも優秀選手賞を取りました……よね?」

由暉子「そうそう。南浦さんと、宮永さんが優秀選手でした。懐かしいですね……」




――――――




トシ「あらあら懐かしい。確か、10年前のIH以来かしら? 直接顔を合わせたことはないけどねぇ」

トシ「そりゃ貴方たちのことは忘れないわよ。あの年、私が目をかけてきた秘蔵っ子たちが負けちゃったんだもの。貴方のことも、名前だけはしっかり憶えてたよ」

トシ「『雀王』・『王位』・『名人』・『雀聖』・『王座』・『竜王』……それと、上半期、下半期、アマプロ交流のオールスター戦『地和』・『天和』・『人和』」

トシ「ええ。表舞台に出てきたあのIHの頃から注目してて、天和戦で3位に残ったときも、そのくらいはやると思ってたけどね」

トシ「チーム戦でも個人戦でも大暴れで、異常と言って差し支えないほどの成績だった。誰もが全盛期の小鍛治健夜と比較し、姿を重ねたくなるほどに」

トシ「春先の雀王戦を制して、王位も手にしたあたりかねぇ。見た目なんかは地味な子だったけど、世間もやっと注目し始めた」

トシ「私? もちろん驚かなかったわよ。その後の宮永咲の快進撃を見ても、ね」




――――――




靖子「あのときの咲の印象、ね。今も同じチームにいて一緒に打ってるわけだけど、昔も今もそこまで変わったわけじゃないよ」

靖子「真面目なやつだとは思ったな。僅差勝ちが多いせいで世間は色々言うみたいだが、むしろ、こっちが心配になるほど一局一局に集中して打ってると思うよ」

靖子「ん? ……確かに、『それだけ対局を楽しめているんだ』という見方もありだな。あいつ自身、よく『麻雀は楽しい』って口にするし」

靖子「そうそう。本人に聞いたけど、あのプレイスタイルは子供の頃の嫌な思い出が元になってるんだったな」

靖子「高校のときからそうだったけど、±0や僅差で勝とうとするのはその時のあれこれが原因になってるのかもしれん。もっとも、それ以上は本人にも分からないメンタルの問題になるんだろうがな」

靖子「……ああ。咲が勝つ度に、粗探しやバッシングの声が強まるのは歯痒かったよ。勝つのと楽しませるのは別だし、勝手に騒ぐ分は構わないんだけどね」

靖子「そう。君の言う通り、昔の小鍛治さんも確かに似たような批判は受けていた」

靖子「ただ、『本気で打て』なんて言われたことはないんじゃないか? プレイスタイルのせいか知らないけど、いらん誤解を受けたって意味じゃ咲は小鍛治さんよりずっと辛かっただろうな」

靖子「私としては、咲と僅差の勝負を演じ続けたライバルの方を評価する方がよほど健全だと思うんだけどな。まあ、世の中というのは思い通りにならないものさ」

靖子「……二年前の地和戦だったかな。あいつが出てきたのは……」






~~~~~~






みさき「さあ上半期の王者決定戦、地和戦の決勝卓がいよいよスタートというところでしょうか。野依プロ、注目はどの選手でしょうか。……野依プロ?」

理沙「宮永!」

みさき「確かに、宮永咲は直近の名人戦やその前の雀聖戦も制し現在四冠を獲得しておりますが……対抗馬になりうるとすれば、どの選手でしょうか?」

理沙「ぜんぶ」

みさき「……そういう社交辞令というか、どっちつかずな発言ではなくてですね。キーパーソンとなる選手が知りたいんです」

理沙「!!」

みさき「どうでしょう、野依プロ?」

理沙「……!」

理沙「……大星っ!」




――――――




みさき「……大星淡は、宮永選手と同い年のプロ一年目。去年まで海外留学をしていた関係でデビューこそ遅れましたが、前哨戦である名古屋杯を勝ち上がってここまで来ております」

みさき「しかし、個人戦でのビッグタイトルを戦った経験は今のところゼロ。これが初のタイトル挑戦となりますが、どの辺りに注目すべきでしょうか?」

理沙「リーチ!」

みさき「リーチを多用する攻撃的なスタイルが宮永選手の牙城を崩すカギ、ということでしょうか。くしくも、二人ともカンを多用する打ち手でもあります」

理沙「二人も注目!」

みさき「その通りですね。雀王・雀聖戦と共に宮永選手に敗れ、雪辱を期す現地和位の三尋木選手。また、名人戦で2位に惜敗した藤白選手にも地和位を得る可能性は十二分に存在します」

みさき「……どうやら、卓上では場決め親決めともに終わったようです。起家は三尋木選手。第41回地和位戦……今、始まりました!」




――――――




みさき「試合終了ー! 大星選手との激しい1位争いの末に、宮永選手がついに五冠目を手にしました! 上半期の個人タイトル全てを無敗での制覇です!」

みさき「戦前の予想は、前保持者の三尋木選手と宮永選手のデッドヒートに、藤白と大星がどこまで割って入れるかというものでした」

みさき「しかし現実は予想を裏切り、ラストの半荘からは大星選手が頭一つ抜け出し、それを宮永選手が南三局で捉え、終局まで凌ぎきるという展開でした」

理沙「見応えあった!」

みさき「試合前の野依プロの予想通りでしたね」

理沙「……うれしい!」

みさき「ありがとうございます。この対局は、解説野依理沙、実況は私、村吉みさきでお送りいたしました……」






~~~~~






界「……ああ、スマンスマン。ちょっと所用がたてこんでて、待たせちゃったね」

界「実の娘だし、あいつについては語りたいことが色々とあるんだけどな……。高校の時点から麻雀に関しては完全に俺の下を離れてたよ、咲は」

界「プロ雀士としてのあいつは、正直よく分からないところなんだけどなぁ。なんせ、俺の想像もつかない場所へ行っちまった」

界「照もそうだったが、親としては寂しいような嬉しいような微妙な気持ちだよ。プロ入りに賛成はしたが、ここまでやるなんて思えるはずもなかったしな」

界「咲はなぁ……昔から運動が苦手で、どんくさいし、迷子にはなるし、本を読むのが好きで、料理ができることがちょっとした自慢で……」

界「親の俺も不思議だよ。小さい頃にいらねえ苦労させちまったのに、あいつがプロ雀士やってるなんて、今でも半信半疑さ」

界「12年ぶりだっけか? 王位と王座を連覇したのは小鍛治健夜が最後だったらしいが、麻雀打ってるあいつの前にゃ、そんなジンクスも通用しねえんだよなぁ」




――――――




界「ところで君、ブックメーカーって知ってるか? ……そうそう。あらゆることを賭けにして提供する、海外サービスのことなんだが」

界「あれは、二年前の竜王位に参戦するメンツが固まった頃だったかな。優勝選手を当てる賭けが開かれたんで興味本位で覗いてみたが、咲の倍率はどうなってたと思う?」

界「……1.2倍。ひょっとしたら1.1倍だったかもしんねえ。とにかく、そいつらからほぼ絶対の信頼をあいつは得てたってことだ」

界「信じられるか? 麻雀という、運が大きく大きく絡むゲームに延々勝ち続ける咲と、それを確信し続ける奴らがこの世界にうじゃうじゃといたなんてよ」

界「チーム戦でもずーっと収支1位で卓終わらせてただろ、あいつは。それも、普通ならあり得るはずのない『勝って当然だ』って声と『早く負けちまえ』の声を浴び続けてよ」

界「俺の印象だと、後者の声の方が前者より大きかったような気はするな。……何度でも言うけどよ。あの時期のあいつは……」

界「……いや。咲は今も、親の俺が想像もつかないような世界で戦い続けてるんだよなぁ」






~~~~~






(ブーーーーーーーーーーーーッ……)



憩「あぁー! 届かんかったか~! ……悔しいけどおめでとうな、咲ちゃん」

咲「えっ? あ、ありがとうございます。荒川さん」

憩「やめてくださいよーぅ。一歳違いなんてこの世界じゃ同い年みたいなもんやし、気軽に憩ちゃんって呼んでなー」

咲「あ、あうぅ……。……えっと、明華さんも、淡ちゃんも、お疲れ様でした。結果とか以前に、とても楽しかったです!」

明華「……」

淡「……」

咲「……うぅ」




――――――




明華「……いい対局でしたね。勝てたら言うことなかったんですけど」

咲「!」

憩「……」

明華「次は、貴方たちの方から私のホームに来てくださいませんか? それで、今度こそ誰が一番強いかを決めましょう」

咲「……はい! いつか、きっと」

憩「えぇー。フランスなんて、上品すぎてうちが行ったら息つまってまいますわーぁ。もっかいここでやって、うちが勝てたらええんやけどなーぁ」

明華「うふふ……」

咲「あははっ」

淡「………」

淡「……ばっかじゃないの」




――――――




憩「淡ちゃん?」

淡「なんでもない。……私は取材受けてくるけど、アンタたちも報道陣待たせない方がいーと思うよ」

咲「あ、淡ちゃ……! ……行っちゃいましたね」

憩「……うちのせいやったかもな。きっと、この中で一番悔しいのはあの子なんに……」

明華「憩の責任ではありませんよ。……それでは、私も失礼させていただきますね」

咲「……」

憩「ほら、咲ちゃん! 勝ったあんたが出てこんとお話しにならんて! はよ行きましょう?」

咲「……は、はいっ」




――――――




『宮永選手!無敗を維持したままでの竜王位戴冠おめでとうございます!』


咲「あ、ありがとうございます。いつもぎりぎりで申し訳ないですけど、応援してくれる皆さんの期待に応えることができてホッとしています」


『王座戦では余裕を持って制した大星選手相手に、今回は400点差の微差で勝利しました。そのことに、なにか感じたことはありますでしょうか?』


咲「あ、あの。たまたまというか、必死で頑張った結果そうなってるだけで……。あわ、大星選手には負けたくなかったですし、点差に関わらず、とにかく勝てて良かったです」


『これで手にした個人戦タイトルは怒涛の七冠となりました! 次の目標は、やはり小鍛治選手以来の八冠・九冠制覇でしょうか!?』


咲「……以前も言いましたが、私にはここまでの道のりすら途方もないことなんです。応援してくれる皆さんや、支えてくれる家族、チームメイトや関係者の方々のお陰でどうにかここに立てているだけで……」


咲「それでも、皆さんに期待していただけるのは嬉しいですし、強いモチベーションになります」


咲「チーム戦のリーグもひと段落しますし、これからは天和位戦に合わせて調整して、優勝を狙いたいと思います。応援、ありがとうございました」


『ありがとうございました。本年度の竜王戦を制した、宮永咲選手にお話ししていただきました!』






~~~~~






照「……うん。親しいかどうかは微妙だけど、見知った仲だしね。普通の記者相手にとるような態度はとらないよ」

照「『営業モード』? ……まあ、呼び方は自由だから別にいいけど。でも、あなたも『素』に近い方の私の話を聞きたいでしょ?」

照「……で、天和位戦での咲の話をすればいいんだよね? ……うん。あの日は私が解説に呼ばれてたし、よく覚えてるよ」

照「もちろん、私も出たかったけど。あの年は海外遠征ばかりだったし、私が出場する資格はなかったんじゃないかな。……うん」

照「……そうだね。とりあえず、私が日本に戻ってきたとこから始めることにするね……」




――――――




照「まず、日本中が咲一色だったことに驚いたかな。連絡はたまに取り合ってたけど、国内のことはあまり興味がなかったから」

照「……うん。私も相当な注目を浴びてた自負はあるけど、国際戦でもないのにあそこまで麻雀が注目されてたのはプロになってから初めてだったと思う」

照「天和戦の前日までは、家で咲と打ってたね。お遊びみたいなものだけど、やっぱり途中から本気になっちゃって……」

照「調子はよさげだったし、天和戦も予選リーグは確実に勝てるだろうな、って思った」

照「そう。三日間のリーグ戦の後に半荘2回の決勝戦で順位を決める……あの形式はIH個人戦のそれと似てて、咲が昔から慣れてるものだったしね」

照「身内びいきを差し引いても、咲が本命だと思ってたよ」

照「…………」

照「…………うん。あの事故が起こるまでは、ね……」




――――――




照「……うん。それでも、事故自体は軽かったからよかった。雨の中飛び出してきた子供を運転手が避けて、車は電柱に当たって……」

照「『はじめて聞いた』? 『事故があったのは知ってたけど』……って」

照「……きっと、咲はその子をかばったんだね。なにかあった時に、そのことが露見して子供が糾弾されたりしないように」

照「…………」

照「……試合後の検診で、ただの打撲と出血だと聞いてからは安心したけど。家族のことだし、あのときは正直肝が冷えた」

照「血のにじんだ包帯とガーゼで、顔の半分も覆われて……咲の姿を見たときは……本当に、本当になんて言ったらよかったか……!」

照「……そうだね。咲は周りに『平気だ』って言いながら卓についてた。でも、身体は平気でも、大一番を前に緊張で張りつめた中であんなことが起きて、心が平気でいられるはずがない」

照「今でもそう断言できる。他でもない、この私なら」






~~~~~






照「……遅い」

えり「……宮永プロ。お気持ちはわかりますけど、そろそろ打ち合わせに……」

照「迷惑かけて申し訳ありません。でも、あと10分……対局の、30分前になるまでは」

えり「私は大丈夫ですけど。……宮永プロは、妹さんと一緒には来られなかったんですか?」

照「決勝だけ解説する私と違って、咲は昨日まで近くのホテルに宿泊してましたから。……ひどい雨も降ってるし、まさか迷子に」

えり「……選手の送り迎えは協会のスタッフがしてますし、それはないのでは……」



(ガンバッチャッタガンバッタワレワレ……)



えり「! 宮永プロ、電話が……!」

照「はい! ……咲? 私だよ! こんなに遅れて、なにがあったの?」




――――――




照「うん、うん…………わかった。本当に大丈夫なんだね?」

えり「……」

照「うん。……それじゃ、会場で」

えり「……妹さん、なんと?」

照「……送迎の車が事故に遭って、色々と手間取ったらしいです」

えり「!」

照「あ、でも、重傷人とかは出なかったみたいで。……怪我人の応急処置と現場検証が落ち着いたので、今から別の車でこっちに向かってくるそうです」

えり「そうですか、それはよかった……。……私、運営の方に連絡が入ってるかどうか聞いてきますね」

照「ありがとうございます」




――――――




照「…………」

えり「…………」

照「……遅い」

えり「……宮永プロ? お気持ちは分かりますけど、あれから20分近くも経ってますし……」

照「お願いですから、もう少しだけ。……あと、『照さん』とか『照』とかで構わないですよ。『宮永プロ』だと紛らわしいですし」

えり「えっ!? ……け、検討させていただきますね……」

照「ん。そうしてくださると助かりま……咲!?」

えり「妹さんですか? よかったですね、間に合っ……」




――――――






えり「って……!?」



照「……っ!!」






――――――




照「……咲、」

咲「どうしたのお姉ちゃん? 中継はもう始まってるだろうし、選手の控え室なんて来てないで、早く行かないと」

照「……本当に、大丈夫なの」

咲「……大丈夫だよ。ちょっとだけ、痛みはするけど……。この包帯のせいで、ひどく見えちゃうのかな?」

照「無理、してないよね?」

咲「してないよ。対局遅らせちゃって関係者に迷惑かけてるんだし、このくらいの怪我で泣きごとなんて……」

咲「…………」

照「……咲?」




――――――




咲「……な、なんでもない。ちょっと傷が痛んだだけだよ」

照「咲……。私もあなたの気持ちはわかるし、無理にとは言わない」

照「でも、今のあなたはお世辞にも完調とは言い難い。……そんな状態で打つくらいなら、いっそ」

咲「……何度も言わせないで!」

照「!」

咲「せっかくここまで調整してきて、皆にも支えてもらってこの舞台まで来られたんだから! 私は、ここで立ち止まってちゃいけない! こんなことで、諦めるなんて……!」

照「……っ」




――――――




咲「…………」

照「…………」

咲「……大声出してごめんなさい。対局室、下見に行ってくるね……」

照「待って。まだ話は」

咲「またね、お姉ちゃん。解説席からでも、あからさまにならないくらいに私のこと応援してくれると嬉しいな、なんて」

照「……っ!」

照(……ごめん、咲……!)

咲「それじゃ、行ってくるよ!」

照「さ、咲……!」




――――――




照「…………」

照(咲……)

照(……あのそぶり、最後に『視られた』ことにも気付けなかった……?)

照(普段の咲なら……いや、一定以上に勘に優れた雀士ならあり得ないはず。なのに、今の咲は……)



『テルサーン? テルサーン、ソロソロチュウケイハジマリマスヨー?』



照「す、すみません! 今行きます!」

照「………っ」

照(咲……っ! どうか……!)




――――――









咲「さあ、夢を見よう。」 (中) に続く


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  1. 2015/08/17(月) 13:35:00|
  2. 自作SS~咲-Saki-~
  3. | コメント:0
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